★本多静六 / 『私の財産告白』
●人生計画は、向上心の充足-つまりは「努力の予定表」であり、
それを実行し得たときの効果。
(1)仕事の順序を誤らず、おのおのの仕事の段階を秩序整然たらしめること。
(2)無駄がなく、無理がなく、仕事の出来高がふえ、質もよくなること。
(3)仕事の結果があらかじめ推測できるので、
仕事の進行を思うままに制御でき、時間と労力が著しく節約されること。
(4)常に前途に希望をもち、かつ現在に安堵しえて、
よく焦慮(しょうりょ)と苦悩と疲労から免れられ、
余裕ある生活を送りえること。
(5)可及的速やかに成功し、健康長寿、福徳円満に一生を過ごしえられること。
●人生計画に必須の五大要素
(1)正しい科学的人生観に徹すること。
(2)どこまでも明るい希望をもつこと。
(3)なるべく遠大な計画を立てること。
高遠雄大な希望を抱いて前途の大方針を仰ぎ、
伏して心を静め、自身の足元を見つめて、現在の実力、境遇に応じ、
順次下方より確実な一歩一歩を真面目に築き上げていくこと。
(4)人生計画は、焦らず、休まず、怠らず、
日にあらたなる努力精進をもって、終局において必ず大成するよう
拙速、僥倖(ぎょうこう)、場当たり、投機などの危険をいささかも含めぬこと。
(5)人間はしょせん「時代の児」であるから、
計画も努めて科学的な進歩と社会発展の線に沿わしめること。
●新人生計画 一覧表
期名 | 年齢 | 期間 年数 | 計画目標 | 計画方法 |
第一、教練期 少年期(教養) 青年期(錬成) | 第二、勤労期 6-20 6-15 16-20 | 15 10 5 | 人間らしく 働くための準備 | 勉学、錬成の徹底化、 克乏生活の訓練 (従順・学習・錬成) |
第二、勤労期 少壮期(働き盛り) 中壮期(分別盛り) 大壮期(知能盛り) | 21-65 21-35 36-50 51-65 | 45 15 15 15 | 見のため国のために働き、 名利を蓄積する | 勤倹貯蓄、職業の 道楽化、成功 (職域奉仕、縦横活動) |
第三、奉仕期 初老期(お礼奉公 時代、感謝時代) | 66-85 | 20 | 名利に超越して、 世のため人のため働く | 名誉職、世話役、 官公吏、人生指導など (奉仕的、円満無碍(むげ)の活動) |
第四、楽老期 中老期(指南時代) 大老期(無為化時代) | 86-120以上 86-105 106-120以上 | 35以上 20 15以上 | 働学併進、 努力道楽の晩年を 楽しむ | 晴耕雨読、顧問相談役、 身上相談、遊覧指導旅行など (和顔慈眼、光風霽月(さいげつ)) |
●処世九則
(1)常に心を快活に持すること
毎朝目覚めると、まず今日も生きていたことを何よりもありがたく思い、
忙しければ忙しいほど、仕事が沢山できると喜び、
日々健康に、日々愉快に働ける自分自身に感謝している。
(2)専心その業に励むこと
たとえ初めは、自分の性格才能に合わないと思われるような仕事でも、
専心打ち込んでかかることによっていつしか上手にでき、
面白く働けるようになってくるものである。
その結果、何人もついに、その職業を趣味化し、道楽化し、
容易に成功がかち得られるに至るものである。
(3)功は人に譲り、責はみずから負うこと
総じて何事にも同僚を先に立て、
自分はその下にもぐって「縁の下の力持ち」をつとめるように心掛ければ、
同僚もそれを認めずにいられないし、
先輩もけっして見逃しにするようなことはない。
そうして、だれしもそういう性格の人と共に計り、
共に仕事をするようにしたいのだから、自然とその人は引っぱり凧にされ、
知らず知らずのうちに上長者に押し上げられもするし、
また上長者としての好評を博することにもなる。
(4)善を称し悪を問わないこと
相手の悪い点に気づいても知らぬ顔で見すごし、
ただその人の良い方面だけを称揚するようにする。
そうすれば、自然とみずからの欠点にも気づき、
人知れずそれを改めることにも努めるし、
またどんな敵意を抱く人でも、
自分の長所を褒められて悪い気持ちのするはずもないから、
いつしかその敵意も失せ、
みずからも大いに反省して本当の友人ともなれるのである。
●言葉の送り出し方一つで、口は凶器ともなれば利器ともなる。
(5)本業に妨げなき好機はいやしくも逸しないこと
本業一つに沈潜しすぎていると、自然、
専門外のこと、本業以外の分野にはまったく盲目になっていまうおそれがある。
エブリシング・フォア・サムシング(あることにすべてを)であると同時に、
サムシング・フォア・エブリシング(すべてのことにあることを)もまた望ましい。
(6)常に普通収入の四分の一と臨時収入の全部を貯えること
(7)人から受けた恩は必ず返すこと
(8)人事を尽くして時節を待つこと
「時を見る」のと「時を待つ」のが成功の秘訣で、
時を味方に引き入れなければ何事も成就するものではない。
耐え忍べ、そうして、時の来援を信じて待て、
~これが私の最終条項としていいたい人生計画必成のコツである。
(9)原則として個人間に金銭貸借を行わぬこと
・古い言葉「気の毒は先にやれ」
・シェークスピアの戯曲
「金を貸すことなかれ、金の貸与は金とともに友までも失ってしまう」
・感情と勘定、二つのカンジョウ問題なのである。
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